もめのめも書き

日常のエッセイ、仕事の記録など。

藪の中。

芥川の「藪の中」は、話し手によって「真実」が異なる。

 

ドラマ「凪のお暇」では、空気を読み器用に生きている”風”の慎二は、より空気を読みすぎる凪の存在に救われているのに、素直になれず凪を苦しめる。凪目線と慎二目線では、同じシーンも、まるで見え方が違う。

 

映画「万引き家族」では、疑似家族に感情移入して長時間鑑賞した後半戦、警察が滔々と状況説明する言葉に、私たちは、さっきまでと異なる世界を見る。

 

10年ほど前に、私は父と祖母をインタビューをした映像作品を作った。二人の視点から語られる真実は異なった。

わたしはナレーションでこう綴った。

「誰もが自分の人生のストーリーテラーになる。それは、すべてが虚構で、すべてが真実。過去を消化し、次へ進むため、自分で作ったストーリーを人に聞かせるのだ。私もまた同じように。私がひもとき、綴り直した新たなこのストーリー。私はまだ見ぬ自分の子や孫の足元に、ひそかにバトンを置いたのだ。」

 

 

真実はいつもひとつじゃないよ、コナンくん。

 

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