「お母さん今何歳?」
「35歳」
それが自分の母親の年齢を意識した最初の記憶。計算すると、その時私は8歳。青のクレヨンで描いたワンピースを着た母の似顔絵の横に、35さいと書き添えた記憶が、ぼんやりと伴う。
当時の母の年齢を迎え、あの頃の母の内心を想像する。「お母さん」という存在にしか見えなかったその心の内に、消化出来ない「女」を秘め殺していたなんてことはなかったのだろうか。
35歳。分かれ道、境い目。
産むの産まないの。続けるの変えるの。選ぶ/選ばれる/選ばれない/選ばざるを得ない。現実に抗おうとする程に、現実を知る。女にとっては、そんな年頃なんじゃないだろうか。
ゼロからやり直しは効かないし、魔法使いは登場しません。若さ、可愛さ通用しません。産んだ、育てた武器にしても賞味期限すぐきます。男以上にシビアです。35年の地層を見つめ直して、ないない思ったけどこんなにあったよと、自分で自信持つしかないです。
それら存じた上で、新しく、皮剥いで、お迎えしましょう。35歳のわたし、お出ましです。