もめのめも書き

日常のエッセイ、仕事の記録など。

下町芸術祭、野生「能」。

美術家、森村泰昌さんのパフォーマンス「野生『能』」を観た。

 

大阪の釜ヶ崎、京都の須原、神戸の福原という下町が題材。能、漫才、演劇、映像、小説などいくつもの形式を使用したり、引用していて、内容は小難しすぎずも、鑑賞者に想像の余地を残していた。

 

まあ、とにかく面白かった。

 

途中、森村さんの十八番である「変装」で、下町新党党首、町下路地蔵が、「ロジスティクス路地スティクス」と弁を奮う。

 

便利さのため路地を排除し直線を結ぶのが「ロジスティクス」で、路地に迷い込み、途中もはや目的がなんだったかさえ見失いながら彷徨い続ける「路地スティクス」。(ああ、路地スティクスな表現や人生を謳歌したい、と、思った。)

 

 

「美しい」と「きれい」は違う。坂口安吾の「日本文化私観」に「やむべからざる実質がもとめた所の独自の形態が、美を生むのだ」とある。

 

 

「良いこと」志して、きれいにしちゃう。何もかもが、どことなく似た雰囲気、似たデザインに塗り替えられていく。きれいはロジスティクス的な取り繕いで、美しさは路地スティクスのセンス。

 

「きれい」から外れると炎上するから、ますます「きれい」に取り繕い、表現は「不自由」になっていく。「美しい」もの、味わう力を養う努力していきたい。

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