自分が幸せでいることと、世界で悲劇が起こっていることの間に生じる罪悪感。世界で戦争が起こり、日本で天災が起こり、社会で殺人があり、個人で不妊など様々ある。当事者の苦しみと、当事者じゃない苦しみ。「この世界には愛が存在するんだ」と叫び続けることで、苦しみを払拭してくれる、完璧な小説だった。
登場人物が、アイとかユウとかいう名前で、ある種記号化されていることで、これは誰かの物語になる。
小説を読みおわったタイミングで、たまたま星野源の「ドラえもん」を歌詞表示つきで聴いた。この歌を聞いて胸を駆け抜ける普遍的な強い愛のメッセージと、小説の読後感はなんだか似ていた。完全に私の感覚だけど。
変わらない世の中に苦しむ、愛のある人にぜひお勧めしたい一冊。